1日の延滞金は少額でも期間が経てば高額に

レンタルしたDVDの返却期限をうっかり忘れて、延滞金を支払った経験を持つ方はいませんか?
短い期間の延滞であればそれほど気にする金額でなくとも、長期間の延滞ともなれば数万円の金額を請求されることもあるので注意が必要です。
例えば延滞金の計算が1本一日200円であった場合、5本を3か月延滞すれば、約9万円になります。
この延滞金は支払いの義務があるのでしょうか。

会員規約には支払義務の記載がある

ある物品をレンタルする行為は、民法上個人と事業者間で結ぶ賃貸借契約に当たります。
一般的に会員規約のみならず、店舗内に延滞料についての表示がされ、延滞料は店舗が被った損害の賠償と位置付けられます。
賃貸借契約の前提にこの延滞料に関する規定を含む会員規約に同意しているという事が指摘されます。
会員となりレンタルした以上延滞料なんて聞いてないと法律上(民法上)反論するのは無理なので請求金額を支払うのが原則となります。

消費者保護法に基づく修正規定も

しかし、一般的にDVDは数千円程度で市販されていますが、レンタルのケースでは返す義務がある事に加え、前記の例のように定価の数倍の延滞料を支払うケースもあり、やむを得ないと納得する方はいないでしょう。
そこで、トラブル防止の目的で消費者契約法が創設され個人を守る規定が定められています。
その規定では、借りた個人の利益を大きく損なう延滞料の規約は無効だと定められます。

前記の例のように延滞料が青天井に増加する規定だと、例え1日当たり金額が少なくても、長期間に渡れば総額が高額に及ぶため、消費者契約法のこの規定の適用対象となると考えられます。
その結果、その事業者が受けた平均的な損害の額を超えた金額は無効だとの主張が可能となり、過大な延滞料部分は支払義務がないことになります。

事業者が受けた平均的損害額の算出

無効となる過大な延滞料部分を算出するには、事業者が受けた平均的な損害の額が算定されなくてはいけません。
最初に思いつくのは、DVD本体の売価が考えられます。
新品で買い取ったとした場合の額を賠償すればよいとの考え方です。
ほかに、対象DVDの貸し出し料金や延滞期間、それまでの貸し出し状況を勘案して、規定の返却期限までに返されていたと仮定した場合、店舗側が得られた利益をもとに平均的な損害を算出する事も出来ます。

支払額減額の交渉

最初に、請求された延滞金の一部を支払うという事で店舗側に和解の案を示してみましょう。
対象DVDの販売価格を大きく超える延滞料は、大半のケースで「通常生ずる平均的な損」をはるかに超えているため、「消費者契約法に反し無効」と主張して、和解を提案すると有効です。

この時の相手方はアルバイトではなく、責任ある立場の人と交渉しなくては余計にこじれる元です。
遅延したのは当方に非があるが、不当な額の請求は止めてくれという態度で臨むとよいと思います。
また話し合いでスムーズに解決不能なケースは、弁護士等専門家への相談が有効です。