あのALWAYS三丁目の夕日をえがいた山崎監督が贈る「永遠の0」

ALWAYS三丁目の夕日は戦後、高度経済成長期の中で少しずつ豊かになっていく時代、不便でも人情と隣近所との深い付き合いのあったあの時代をえがいた温かな映画でしたが、この映画を作った山崎監督が作った永遠の0は、戦争という世界がくるってしまった時代に生きた若者たちの姿を孫が紐解いていくという物語です。

戦争の不条理と向き合いながら、命を懸けて日本を守らなければならないと必死に生きた零戦パイロットの苦悩を真正面から描いた作品です。

キャストには岡田准一、井上真央、三浦春馬等、今を時めく若手俳優たちを囲み、重鎮俳優たちが物語を厚くしていきます。

戦争、苦悩の中戦争に身を置くしかなかった青年たち

ある日今の祖父土地のつながりがないということをしった佐伯健太郎は、司法試験に落ちてこの先の進路に悩める青年です。
血がつながっていないということをしり、さらに血縁上の祖父が別にいるということをしった健太郎は、その祖父、宮部久蔵という人物はどういう人だったのか、調べ始めます。

太平洋戦争で零戦にのり闘っていた、また終戦直前に特攻出撃により命を落とした、こうした血のつながった祖父の人生を知っていくと、戦友だった友人たちは口々に、生きて帰る事に執着した臆病者と非難します
一体祖父はどういう人物だったのか、生きたいという気持ちがありながら、なぜ特攻に志願したのか、様々な疑問がわき、時に卑怯者といわれ悔しい思いをしながらも、次第に祖父の真実を知っていきます。

生きるのか死ぬのか、戦争の不条理が浮き出てくる最高の作品

現代はテロなどもあり、危険な地域に取材に行った記者が尊い命を落としたというニュースを見る等、戦争やテロなどが今も世界では継続しているということがわかります。
しかし、日本にいると、かつて戦争によって敗戦国となったこと、原子爆弾が投下されたこと、零戦に乗って命を懸けた体当たり攻撃があったことなど、信じられない世界です。

でも本当にそういう世界があり、生きていたくても生きる事が出来なかった人たちがこれほどたくさんいるのだということをこの映画の中で心に突き刺さるほど知る事が出来ます。
こうした戦争で尊い若き命をなくした若者たちが何を思って零戦に乗ったのか、またその当時、日本に残されたご家族はどのような事を思っていたのか、孫の健太郎が一人一人、戦友たちを巡っていく旅に明かされる真実に、心を動かされます。

最終的に祖父は卑屈ものでも、卑怯者でもなく、最後には荒廃の命を守るために必死になった姿が描かれています。

涙なくしては視る事の出来ない、戦友たちの絆、また傷つき、高齢になった今もなお、その当時の記憶を消し去る事の出来ない人たちがいるということを私たちは知っておかなければなりません。